水木さんの「毎日を生きる」 感想
本の感想でも書くかぁ思いました。書きます。
タイトル:水木さんの「毎日を生きる」
感想:水木しげる(以下水木サン)が編集者からインタビューされる形式。編集者は、現代社会の問題と絡めて水木サンの名言というか、気の持ちようみたいなものを引き出そうとしているように見えるが、水木サンは決して現実の問題に対して霊界や妖怪を持ち出すことはなく、お金や仕事の話をする。戦争が終わって、ニューギニアでの暮らしを選択せず、日本に帰って、その日本が資本主義、商業主義に変化する所に適応して生きていくことを選んだ人だから、そりゃあそうだよなと思う。編集者は言って欲しいことと違うからなのかなんなのか似たような問いを繰り返したり逆に話を急に変えたりしてかみ合っていないしテンポが悪い。
そのテンポの悪さに耐えて全編読むと、何回何を聞かれてもいい加減なことを言わない水木サンの誠実さを感じる。
【好きな文】
「水木サンは、どんなときでも生きたかったから。」
(東日本大震災について、”戦争に召集された人の喪失感と通じるようなものはあるのでしょうか”と聞かれて)
「そうかもしれませんね。
(中略)水木サンは、なかなか人を励ましたり喜ばせたりするような言葉が出てこない。名言を発して、たったそのひと言で救って、というようにはいかない。
復興には時間もかかるのでしょうが、根本的にはマネーがないとできないことでしょう。暮らしを支えるのにも、まずお金がないと。そう考えると、どんな言葉にも力はないですよ。マネーがないと、下手すると心までなくなってしまう。」